射法訓...前段
抑ヽ弓道の修練は動揺常なき心身を以って,押引自在の活力を有する弓箭を使用し,静止不動の的を射貫くにあり。
その行事たるや外頗る簡易なるが如きも,其の包蔵する處心行想の三界に亘り,相関連して機微の間に千種万態の変化を生し,容易に正鵠を捕捉するを得ず。
朝に獲て夕に失い,之を的に求むれば的は不動にして不惑,之を弓箭に求むれば弓箭は無心にして無邪なり。
唯ヽ之を己に省み心を正しうして一念正気を養い正技を錬り至誠を竭して修行に励むの一途あるのみ。
正技とは弓を射ずして骨を射ること最も肝要なり。
心を総体の中央に置き,而して弓手三分の二弦を推し,妻手三分の一弓を引き,而して心を納む是れ和合なり。
然る後胸の中筋に従い,宜しく左右に分かるる如くこれを離つべし。
書に曰く鉄石相剋して火の出ずる事急なり。
即ち金体白色西半月の位なり
*****吉見順正射法訓の見慣れた字句より少し前の方からの抜き出しです*****